『体広範囲にビランが生じた高齢者の創傷ケア』 第2回介護老人保健施設北陸甲信越地区やまなし大会

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『体広範囲にビランが生じた高齢者の創傷ケア』 第2回介護老人保健施設北陸甲信越地区やまなし大会

2003.07.24

第2回介護老人保健施設北陸甲信越地区やまなし大会より
広範囲にビランが生じた高齢者の創傷ケア ~創傷治療における保温の有効性について~

kanedaaki
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所在県・市町村名 富山県高岡市京田
施設名 介護老人保健施設 おおぞら
発表者 金田 亜紀(看護師)
共同研究者 石王丸 美智代(看護師) 新井 勝美(看護師) 明地 麻里(介護士)



〔始めに〕

高齢者の皮膚には様々な問題点がある
① 加齢と共に皮脂の分泌が減少しドライスキンとなる
② 表皮、真皮が軟弱化し少しの負荷で剥離し易い
③ 血管がもろくなり、皮下出血が生じ易い
④ 内臓疾患を有する事が多くデルマドローム頻度が高い
等、ケアする上でトラブルが生じ易く多くのリスクを抱えている

今回②③に該当する利用者が臥床式浴槽内リフトに移乗する折、広範囲にビランが生じてしまったケアについて試行を重ねた結果、尿取りパットによる創傷部の保護が創部の保温につながり、治療の効果をあげた事例を報告する。



〔創傷の経過〕

受傷当日 明らかな原因は不明であるが、入浴中右下腿に3×9cmのビラン発生。
    出血(+)フシジン貼布し、その上からゲンタシン軟膏を塗布、ガーゼ保護
    包帯固定にて処置開始となる。
2日目 出血、浸出液が包帯まで達しており、創周囲に広範囲な皮下出血もみられる。
    本人からの疼痛の訴えも強い。前日と同処置施行する。 
6日目 病院受診。フシジン中止。生食洗浄後、ガーゼに多めのゲーベンクリームを
とり、創部に貼付し3?5枚のガーゼで保護し、包帯固定へ処置変更となる。
7日目 浸出液(++)。前日と同処置施行後、油紙を使用し、浸出液の流出を予防する。
11日目 浸出液(++)に対して、尿取りパットの使用を開始する。
12日目 医師回診。処置の変更なし。創部2.5×9cm。
19日目 医師回診。軟膏がゲーベンクリームよりアズノールへ変更となる。
26日目 医師回診。創部の上皮化が認められる。本人からの疼痛の訴えがなくなる。
31日目 入浴が許可される。創部をサランラップで保護し入浴。入浴後も創部の炎症や熱発などのトラブルはなかった。
33日目 医師回診。創部の新しい皮膚形成認められ、創面も縮小してきている。
40日目 医師回診。創部2.5×8cm。皮膚の上皮化形成あり、創面を触れても
     疼痛の訴えは聞かれない。浸出液の流出は全く認められなくなった。
44日目 医師回診。アズノールからゲーベンクリームへ軟膏変更となる。
47日目 ゲーベンクリームからアズノールへ再度軟膏変更となる。
53日目 医師回診。ワゼリンへ軟膏変更となる。軟膏塗布後のガーゼ保護は中止となる。
     皮膚の保護の目的で尿とりパットの使用は継続とする。
54日目



〔結果〕

 尿取りパットの使用により創部の皮膚温度上昇につながり創周囲の血流が促進され、創部の細胞増殖が進み、肉芽形成の促進や、感染を抑制し叉、同時に酸素の供給も上昇したと考えられる。



〔まとめ〕

滲出液の血流を防ぎ創部の保護のために使用した尿取りパットにより皮膚温度の上昇が図られ創の早期治癒につながったと考えられる。温度が上がれば組織の酸素需要が増大し、創傷の治りが悪くなると考えられる事もあったが、温度が上がると、血流が増加し、また、温度が高いとヘモグロビンは酸素をより多く離すので、局所での酸素需要が高まっても、局所へ行く酸素が増えることになる。よって、創傷を加温する事は創傷治癒にとって大変有利になったと考える。また、包帯による固定の中止によって創部、創周囲の循環不全の予防にもつながり細胞の増殖、肉芽形成の促進へつながった。

 移乗は再発予防のため2人トランスとし創部の状況変化を十分に把握しながらアセスメントを行って対処したことが今回の結果につながったと考えられる。



〔終わりに〕

 皮膚状態やADLから予想されるリスクをスタッフ全員で共有し、リスクセンスを磨き、心にゆとりを持って接し、今後の事故防止に努めたい。 

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