『Viva!バリデーション ~超コミュニケーション法~』 第10紫蘭会研究発表会

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『Viva!バリデーション ~超コミュニケーション法~』 第10紫蘭会研究発表会

2005.10.01

第10回紫蘭会研究発表会(H17.10.29) 光ヶ丘ホーム より

Viva! バリデーション
〜ホームに超コミュニケーション法がやってきた
詳しい資料はこちら
はじめに

光ヶ丘ホームを利用されている方の約8割に軽度から重度の認知症状がみられました。その中でも帰宅願望や場所の見当識障害が多くみられ、特に初回利用時には極度の混乱状態に陥り、日々対応に追われているという現状です。そんな時、私たちはバリデーションというコミュニケーション法に出会いました。

 バリデーションとは認知症を持つ高齢者に心から共感し、寄り添うことによってその人自身を理解し、介護者自身も豊かになる超コミュニケーション法として世界でも高く評価され、(アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアを始め、7000以上の施設で採用されています。)実践に裏付けされた信念と原則に基づき4つの異なる「解決のステージ」(※1)に分けられ、個々人のステージ    

   <ホーム利用者様の段階別認知症状のグラフ>
image-hikarihome1

に合わせ、スタッフが個別にコミュニケーション法を見極めていくという方法です。ここに、実践した結果を報告します。

方法

 7月〜9月までの3ヶ月間を対象として、約8割の利用者様にバリデーションを行いました。スタッフ全員で共有できるノートを準備し、バリデーションを行ったスタッフが記入しました。(どんな問題が起こって、バリデーションをどのようにして、どのような結果が現れたのか)今回は、著明に効果が現れたAさんを紹介します。


≪Bさんの記録の一例≫

日 付 職員の名前 どんな状態だったか? 対処方法(どのように行動したか?) 所要時間
8月23日 スタッフA 23時過ぎに離床。シ―ツを外し、ホールのテーブルやイスをずらす。眠前薬服用のため、眠気あり、ふらつきもみられる状態。 テーブル、イスを一緒に運びながら(Bさんの指示通り移動)話を聴く。よ〜く聞くと、お客さんが来られるためにテーブルを動かしているのだと分かった。まだ足りないと言われ、丸テーブルも用意する。納得されたのか終了した。その後は、ぐっすり眠られた。 1時間の行動中バリデーションは5分程度

検証

Aさん:87歳 女性 職歴:教員 要介護度:3 バリデーションステージ:1

病名:関節リウマチ、老人性認知症

性格は、プライドが高い。夫との二人暮らし。数年前から認知症状がみられ、夫の介護負担軽減の為8月下旬からホーム利用されています。現在は、週3日の利用となっています。

 Aさんは、初回入所時には自分がホームに入所するということを納得されていない状態であり、帰宅願望が強く、口調は強くないものの、否定的な言動が多く、意志の疎通も困難でした。Aさんには、初回の入所日よりバリデーションのテクニック(※2)の1つ“リフレージング(本人の言うことを繰り返す)”の技法を用いました。

2回目入所には、言動は変わらないものの、表情が穏やかになり少しずつ笑顔もみられるようになりました。それ以降は、ホーム入所への理解をし始め、「一番好きな所に来ました。」と笑顔で挨拶されるようになりました。現在も、バリデーションを行っています。

 利用当初は、自分の感情をストレートに言えず私たちも何に対して怒っているのか分かりませんでしたが、バリデーションを行うことによって、Aさんの遠まわしな言葉の中の本音を理解できるようになりました。

まとめ

バリデーションは、心の奥まで人との繋がりを持つことができるすばらしい方法だと分かりました。今ではこの技法を実践し、ゆとりの介護ができるようになりました。スタッフの連携もスムーズに取れるようになり、「ケアギバー(介護者)」「コワーカー(協力者)」として自然に役割分担も出来ています。

おわりに

 本来、バリデーション法とは講義を受けてから行うべきですが、私たちは専門書をもとに実践に至りました。この事だけでバリデーション法を網羅した訳ではなく、まだまだ実践においては失敗例も多く、その都度検証しながら行っている状況です。認知症介護のコミュニケーション法としては、他にも数多くの療法があります。

 私たちはたまたまこのバリデーション法に出会えてよかったと思えます。これからも、バリデーションを通じて、ホームが利用者様と楽しい時間を共有できる場でありたいと考えています。




※2   バリデーションのテクニック
<テクニック> <技法> <簡単な内容>
1 センタリング (精神の統一、集中) ・自分自身の呼吸に焦点を合わせ、できる限り「怒り」や「イライラ」を体の中から追い出す。
2 事実に基づいた言葉を使う ・相手をおどしてはいけない。真実の言葉のみを使う。「誰が」「なにを」「どこで」「いつ」「どうやって」というような質問をし「なぜ」は避ける!
3 リフレージング(本人の言うことを繰り返す) ・相手が自分の言うことを繰り返して、それが確認されると安心する。声の大きさ、抑揚なども同じにする。
4 極端な表現を使う(最悪、最善の事態を想像させる) ・お年寄りの不平や不満をもっとも極端な例を示してたずねること。怒りを発散させることで、心配事を和らげる手助けをする。
5 反対のことを想像する。 ・若い頃に苦しみや困難から立ち直るため、よく使った方法を思い出す中から導き出す。
6 思い出話をする (レミニシング) ・見当識障害のある人が現在失ってしまったものを、過去に用いていた方法を利用して取り戻すこと。
7 真心をこめたアイコンタクトを保つ ・ケアギバーが親密なアイコンタクトを通じて愛情を示してくれたとき、自分は愛されていて安心できると感じる。
8 曖昧な表現を使う ・曖昧な表現を使うことによって、お年寄りに何を言われているか分からない場合でも、コミュニケーションをとることができる。「彼」「彼女」「それ」「誰か」「何か」などの言葉が、意味の分からない言葉の代わりをする。
9 はっきりとした低い、優しい声で話す ・荒々しい口調は、見当識障害の人を怒らせたり、引きこもらせたりする。はっきりとした低い声で、思いやりをこめた調子で話すことが重要!
10 ミラーリング(相手の動きや感情に合わせる) ・お年寄りの目つきや表情、息づかい、顔色、あごの状態などを観察する必要がある。共感をこめて、鏡に映したように同じ行動をすることは、信頼を築くのに役立つ。
11 満たされていない人間的欲求と行動を結びつける ・愛情(愛し愛されること)、役立つこと(仕事上の地位の回復)、感情の発散という3つの人間的欲求のどれかに結びつける。
12 好きな感覚を用いる ・お年寄りの言うことをよく聞き、観察して、何を言っているのか、また何を言おうとしているのかを理解するカギにする。
13 タッチング(触れる) ・「第1段階」の人には、あまり適当ではない。「第2段階」の人にはかなり効果的である。
14 音楽を使う ・言葉を失ったときに、若い頃歌ったメロディがよみがえってくる。音楽は、「第2段階」「第3段階」の人を活気づかせる。

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