『2時間以上の体位変換の検討』 日本褥瘡学会

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『2時間以上の体位変換の検討』 日本褥瘡学会

2002.08.01

2時間以上の体位変換の検討

 

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1N病棟看護師長 中島房代



はじめに
褥瘡発生予防において2時間おきの体位変換は必須とされている。しかし、その体位変換が患者の安眠障害の原因となり、また、夜勤者のマンパワー不足の問題もあり、必ずしも安易には実行出来ない。そこで、エアーマット使用患者に対し2時間以上の体位変換を行い、褥瘡発生の危険につき検討した。

対象と方法
対象は療養型医療施設に入院し、要介護度4以上、ブレーデンスケールが14点以下の患者16名である。全症例が日常生活自立度ランクC2以上で、何らかの危険因子、・病的骨突出・関節拘縮・栄養状態の低下(血清アルブミン3.0g/dl未満、ヘモグロビン11.0g/dl未満、血清コレステロール160mg/dl未満)・皮膚湿潤・浮腫を有していた。方法:全症例に体圧分散寝具として、二層式エアーマットレス(トライセル)を使用。体位変換時間は、同一体位で最長5時間とした。検討項目は同一体位で、2時間後、4時間後、5時間後の骨突出部の皮膚を観察し発赤の有無を確認した。なお、発赤が確認された場合はその時点で同一体位は中止した。また、マルチパッド型簡易体圧測定器(Cello)を使用し、各時間に体圧測定を実施、測定部位は仰臥位で仙骨部、側臥位では大転子部とした。

結果

※図をクリックすると拡大します

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仙骨部体圧時間的変化を示す(図1)。16例の体圧平均値は2時間値25.4mmHg,4時間値29.3mmHg, 5時間値32.7mmHgであった。皮膚発赤は4時間までは認めなかったが5時間で6例に認められた。
右大転子部体圧時間的変化を示す(図2)。体圧平均値は、2時間値21.9mmHg, 4時間値25.4mmHg, 5時間値28.6mmHgであり、仙骨部より低値であった。
皮膚発赤は5時間で1例に認めた。左大転子部体圧時間的変化を示す(図3)。体圧平均値は、2時間値23.5mmHg、4時間値26.6mmHg、5時間値29.1mmHgであり、仙骨部より低値であった。皮膚発赤は5時間で1例に認めた。
皮膚発赤を認めた8例の危険因子を示す(表1)。全例に褥瘡の既往があり、皮膚湿潤は全例に、骨突出、関節拘縮、栄養不良も8例中7例に認めた。体圧が28mmHgと褥瘡発生危険レベル以下でありながら発赤を認めた2症例は、他症例より骨突出と栄養不良が顕著であった。
皮膚発赤を認めなかった8例の危険因子を示す(表2)。1例以外、褥瘡の既往はなく、また発赤症例と比べ、栄養不良と骨突出を認めない症例がほとんどであった。そして、8例中4例が危険レベル以上の体圧であった。

考察
同一体位4時間までは、全症例で皮膚発赤は認めなかった。しかし、それ以上では、褥瘡の既往があり、栄養が不良で骨突出がある症例に、体圧が褥瘡発生危険レベル(32mmHg)以下であっても皮膚の発赤を認めた。

まとめ
私共の病棟には、自力体位変換不可能な患者が60人中46人を占め、その体位変換を夜勤者二人で実行するのは難しい。そこで、ブレーデンスケールと危険因子のデーターを考慮した上で、エアーマットによる体圧管理、骨突出部のポジショニングの工夫、夜勤では、マイナーチェンジの体位変換を実施することで、2時間以上の体位変換でも褥瘡発生を予防出来ると考えられた。

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