2002 9月

HOME  >  2002  >  9月

『酢で胃ろうカテーテルがきれいになります。』 第10回介護医療型医療施設全国研究会

酢による胃ろうカテーテル汚染の対策と効果
~酢を常温と50℃にした比較検討~

p-sunokenkyu-w400

富山県医療法人紫蘭会 光ヶ丘病院
1N病棟看護師 ○悟道 晴津子
釣 雅美 安田 嫩
婦長 中島 房代

<目的>

胃瘻カテーテルの交換指標は造設用シリコンカテーテルで3~6ヶ月、交換用シリコンカテーテルで1ヶ月とされています。しかし長時間の使用によりカテーテルの内腔が栄養剤や薬の残渣物で汚染され、場合によっては交換期以前に閉塞、損傷を来たし交換を必要とするケースもあります。そこで、カテーテルの汚染対策として、加藤らが報告した酢の殺菌効果を利用した洗浄法を試み追従検討しました。

<方法>

研究期間:平成12年12月~14年5月

対象患者:胃瘻患者様18名

比較項目:ミツカン穀物酢を酢酸濃度が約1%になるように4倍に希釈したものを常温にて平成12年12月~平成13年9月まで使用し、またこの4倍穀物酢を50℃で平成13年10月~平成14年5月まで使用し、比較検討しました。

投薬方法:栄養剤、薬、白湯を投薬後イルリガートルを洗剤で洗い、その後、酢を20ml投与、胃瘻カテーテルの先端まで酢を満たした状態で約3時間クランプしました。

検討項目

① 職員のアンケートによる見た目の評価

②培養結果によるカテーテル内腔の汚染状況

③ 患者様の身体的変化と訴え

④胃瘻カテーテルの変化
p-sunokenkyu1-w300 p-sunokenkyu2-w300
①必要物品 ②酢酸濃度約1%と なるよう白湯で4倍に希釈しています
p-sunokenkyu3-w300 p-sunokenkyu4-w300
③温度計で酢の温度を確認しています
p-sunokenkyu5-w300 p-sunokenkyu6-w300
⑤酢をポットに入れて保温します ⑥酢を20ml量っています
p-sunokenkyu7-w300 p-sunokenkyu8-w300
⑦イルリガードル洗浄後酢を20ml入れます ⑧胃瘻カテーテル先端まで酢を満たしクランプします
p-sunokenkyu9-w300 p-sunokenkyu10-w300
⑨酢の停滞中はプラカードを掲示します ⑩経管栄養開始前に白湯20mlを注入します(酢による経管栄養剤凝固予防のため)

<結果>

①酢を常温と50℃で比較した職員アンケート

アンケート結果1<酢を使用した効果について>酢を50℃にした方が「少しきれいになった」または「きれいになった」と答えたものが増加し、全体の96%を占めています。

 アンケート結果2<今後も継続したほうが良いか>常温、50℃とも酢の使用を「継続した方がよい」と70%以上の者が答えています。

 アンケート結果3<良かった点>50℃の酢の方が「カテーテルがきれいになった」が53%から72%に増加、「閉塞が少なくなった」と答えた者が10%から21%に増加しています。

 アンケート結果4<悪かった点>「酢の匂いが気になる」が常温63%から50℃13%に減少、「手間がかかる」が常温3%から50℃30%に増加しています。

 以上、「手間がかかる」は増加しましたが、常温より50℃の酢の方が「きれいになった」「継続した方が良い」との支持を得ています。

②カテーテルの培養結果はA例では菌数の減少があり、B例では減少は認めませんでしたが、C例では50℃の酢使用後全て陰性という結果を得ました。

③患者様の身体的変化と訴えにおいて下痢、嘔吐、スキントラブル等は見られませんでした。また、酢を50℃にしても大きな変化は見られませんでした。

④胃ろうカテーテルの変化は、酢を使用せず3ヶ月以上経過したカテーテルは流動食色に染まりその先端は縮れていましたが、酢を使用したカテーテルは、常温酢より50℃の酢の方に材質変化が少ないことがわかりました。また薬剤や栄養剤によるカテーテルの閉塞や材質変化による自然抜去は見られませんでした。

<考察>

 食酢はpH2.0~3.0と強い酸性を示す食品です。微生物の多くはpH5.0~9.0範囲に最適pHを持っており微生物にとって食酢は住みにくい環境であると考えられます。胃瘻は経口摂取出来ない患者様の「第二の口」と言われており、言わば胃瘻カテーテルは経口摂取者の「食器」と考えられます。そのカテーテル洗浄法として以前よりフラッシュ法が行われていましたが留置が長期に及んだ場合、内腔の汚れは解消されませんでした。そのため、カテーテルの閉塞や材質変化も多く、自然抜去も散見されました。現在使用しているガストロストミーチューブの交換目安は通常1ヶ月ですが食酢を使用後、約3ヶ月まで耐久期間を延長することができました。また50℃の酢を使用したことによって、さらに菌やカテーテルの材質劣化が減少したことは、50℃の酢による洗浄法の効果と考えられます。

<結論>

今回、検討した穀物酢の50℃の酢による洗浄法は、カテーテル内腔の閉塞や材質変化における自然抜去の発生を軽減する目的において有効であると考えられました。今後、カテーテルの殺菌効果を高めるため酢の停滞時間の拡大を考慮していきたいと思います。

『みかんの皮が肌を改善する研究発表です。』 第10回介護医療型医療施設全国研究会

手指拘縮患者における手浴効果

浦野真琴(ケアワーカー)
2N病棟スタッフ一同


≪研究内容≫

当病棟は60床の介護療養型病棟で、要介護度4、5の患者が80%を占めている。脳梗塞や長期臥床による廃用症候群により、多くの方に四肢の関節拘縮がみられ、手指拘縮の強い患者には手の湿潤、びらん、悪臭などのスキントラブルが多くみられた。そのため我々は古くから抗炎症、鎮痛作用があるといわれている、みかんの皮(陳皮(チンピ))に着目し、これをみかん浴(手浴)として使用する事でスキントラブルの解消、手指の関節可動域の改善が図れないかどうか研究した。


p-kaigoiryou1-H1410 p-kaigoiryou2-H1410 p-kaigoiryou3-H1410 p-kaigoiryou4-H1410 p-kaigoiryou5-H1410 p-kaigoiryou6-H1410 p-kaigoiryou7-H1410 p-kaigoiryou8-H1410


≪研究方法≫

手浴する前と手浴後の関節可動域の拡大を調べるために、外転を距離で表示する方法(計5つのポイント)を測定した。測定は手浴開始日、1ヶ月後 2ヶ月後 4ヶ月後の手浴の前後に行った

①良く洗ったみかんの皮を粗く刻み、風通しの良い所で1週間干す。

②白湯4リットルに乾燥したみかんの皮10個分を入れ、10分間煮た後8倍にうすめる。

③手浴を行う前に手指の状態を観察し発赤、びらん、悪臭、湿潤の有無をチェックする。

④みかん湯の中で2~3分温め、手の甲の部分を軽くマッサージし、手指の緊張を和らげ、指を開きやすくし手掌、指の間を洗う。この全体を10分程度で済ませる。

⑤手浴後は、拘縮の悪化防止の為、脱臭効果のある備長炭のハンドグリップを握らせる。



手術前 p-kaigoiryou9-H14.10

手術後 p-kaigoiryou1-H14.10

手術前 p-kaigoiryou11-H14.10

手術後 p-kaigoiryou12-H14.10


p-kaigoiryou13-H14.10



≪研究結果≫

みかん湯による手浴を重ねるごとにスキントラブルは徐々に改善された。初めはスキンケアを目的にして手浴を試みたが、継続して手浴を行う事によって、徐々に関節可動域に拡大が認められた。みかん湯の中で自発的に拘縮した指を広げようとする意欲が日常的に見られる様にもなった。また、手掌内の細菌検査の結果でも調査開始時には3~4種類の細菌が検出されたが、2ヶ月後には1~2種類に減少した。そのうち1名はMRSA菌の感染を認めたが、2ヶ月後には検出されなくなった。しかし、一般状態の悪化のために皮膚のびらんや臭いが強くなったケースや、みかん湯の濃度が濃いために、かぶれや皮膚がむけるなど十分な効果が得られなかったケースもあった。今回の研究を通し、みかん湯の手浴はスキントラブルの改善に効果があったと考えられる







≪第10回介護療養型医療施設全国研究会大阪大会に参加して≫
2002・9.24

今回の研究で全国大会に参加し、パネル発表の機会を与えていただき大変勉強になりました。この全国大会は全国各地の介護療養型の施設から研究課題を出し合って皆で考えるというもので、施設ごとの日常的なケアに対する工夫と熱心な取り組みに関心させられます。中でも排泄ケアや褥瘡に対する取り組みと抑制の廃止など興味を惹くものが多数ありました。それぞれの発表で学んだことを日頃のケアに活かしていきたいと思います。
診療案内
INFORMATION [はじめて受診される方へ]  初診の方はご覧ください
[受付時間のご案内] 【月~金曜日】
 午前   8:30~12:00
 午後 13:30~17:00
【土 曜】
 午前 8:30~12:00
 午後 休診
【休 診】
 日曜・祝日・お盆・年末年始
医療法人社団 紫蘭会 医療法人
光ヶ丘病院
Medical Corporation HIKARIGAOKA 〒933-0824
富山県高岡市西藤平蔵
313番地
TEL 0766-63-5353(代)