2003 7月

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『体広範囲にビランが生じた高齢者の創傷ケア』 第2回介護老人保健施設北陸甲信越地区やまなし大会

第2回介護老人保健施設北陸甲信越地区やまなし大会より
広範囲にビランが生じた高齢者の創傷ケア ~創傷治療における保温の有効性について~

kanedaaki
写真中の発表用パネルをご覧になる方はこちらをクリックして下さい

所在県・市町村名 富山県高岡市京田
施設名 介護老人保健施設 おおぞら
発表者 金田 亜紀(看護師)
共同研究者 石王丸 美智代(看護師) 新井 勝美(看護師) 明地 麻里(介護士)



〔始めに〕

高齢者の皮膚には様々な問題点がある
① 加齢と共に皮脂の分泌が減少しドライスキンとなる
② 表皮、真皮が軟弱化し少しの負荷で剥離し易い
③ 血管がもろくなり、皮下出血が生じ易い
④ 内臓疾患を有する事が多くデルマドローム頻度が高い
等、ケアする上でトラブルが生じ易く多くのリスクを抱えている

今回②③に該当する利用者が臥床式浴槽内リフトに移乗する折、広範囲にビランが生じてしまったケアについて試行を重ねた結果、尿取りパットによる創傷部の保護が創部の保温につながり、治療の効果をあげた事例を報告する。



〔創傷の経過〕

受傷当日 明らかな原因は不明であるが、入浴中右下腿に3×9cmのビラン発生。
    出血(+)フシジン貼布し、その上からゲンタシン軟膏を塗布、ガーゼ保護
    包帯固定にて処置開始となる。
2日目 出血、浸出液が包帯まで達しており、創周囲に広範囲な皮下出血もみられる。
    本人からの疼痛の訴えも強い。前日と同処置施行する。 
6日目 病院受診。フシジン中止。生食洗浄後、ガーゼに多めのゲーベンクリームを
とり、創部に貼付し3?5枚のガーゼで保護し、包帯固定へ処置変更となる。
7日目 浸出液(++)。前日と同処置施行後、油紙を使用し、浸出液の流出を予防する。
11日目 浸出液(++)に対して、尿取りパットの使用を開始する。
12日目 医師回診。処置の変更なし。創部2.5×9cm。
19日目 医師回診。軟膏がゲーベンクリームよりアズノールへ変更となる。
26日目 医師回診。創部の上皮化が認められる。本人からの疼痛の訴えがなくなる。
31日目 入浴が許可される。創部をサランラップで保護し入浴。入浴後も創部の炎症や熱発などのトラブルはなかった。
33日目 医師回診。創部の新しい皮膚形成認められ、創面も縮小してきている。
40日目 医師回診。創部2.5×8cm。皮膚の上皮化形成あり、創面を触れても
     疼痛の訴えは聞かれない。浸出液の流出は全く認められなくなった。
44日目 医師回診。アズノールからゲーベンクリームへ軟膏変更となる。
47日目 ゲーベンクリームからアズノールへ再度軟膏変更となる。
53日目 医師回診。ワゼリンへ軟膏変更となる。軟膏塗布後のガーゼ保護は中止となる。
     皮膚の保護の目的で尿とりパットの使用は継続とする。
54日目



〔結果〕

 尿取りパットの使用により創部の皮膚温度上昇につながり創周囲の血流が促進され、創部の細胞増殖が進み、肉芽形成の促進や、感染を抑制し叉、同時に酸素の供給も上昇したと考えられる。



〔まとめ〕

滲出液の血流を防ぎ創部の保護のために使用した尿取りパットにより皮膚温度の上昇が図られ創の早期治癒につながったと考えられる。温度が上がれば組織の酸素需要が増大し、創傷の治りが悪くなると考えられる事もあったが、温度が上がると、血流が増加し、また、温度が高いとヘモグロビンは酸素をより多く離すので、局所での酸素需要が高まっても、局所へ行く酸素が増えることになる。よって、創傷を加温する事は創傷治癒にとって大変有利になったと考える。また、包帯による固定の中止によって創部、創周囲の循環不全の予防にもつながり細胞の増殖、肉芽形成の促進へつながった。

 移乗は再発予防のため2人トランスとし創部の状況変化を十分に把握しながらアセスメントを行って対処したことが今回の結果につながったと考えられる。



〔終わりに〕

 皮膚状態やADLから予想されるリスクをスタッフ全員で共有し、リスクセンスを磨き、心にゆとりを持って接し、今後の事故防止に努めたい。 

『当施設におけるレクリエーションの取り組み』 第10回札幌全国老人デイ・ケア研究大会

第10回札幌全国老人デイ・ケア研究大会より


当施設におけるレクリエーションの取り組み
~目標が達成された一症例を通して~

 

富山県 介護老人保健施設 おおぞら
介護福祉士  稲積澄弘
看護師 田中千晶  理学療法士 藪値英子  
介護福祉士 清水武義  
通所リハビリテーションスタッフ一同

 

 

生活レクリエーション  生きがい  統一目標    
     
<はじめに>    
レクリエーション(以下レクと略す)とは、遊びか   られた。まずは集中することを目標に、プログラム
ら価値を引き出し、生活を活性化することである。   1の提供を約2ヶ月間試みた。しかし集中力が持続
 当施設では、歌やゲームなどに集約される一般的   せず5分と椅子に座っている事ができなく、あまり
なレクの充実に取り組んできた。しかし、利用者が   改善が見られなかった。次に、自宅では家事をしよ
楽しんでいるか否かいつも疑問に感じていた。今回、   うとする意欲はあるが全く出来ていないとの家族か
利用者のニーズを把握しレクの充実を図る為アンケ   らの情報を聞き、自宅での家事を目標に、プログラ
ートを行ってみた。その結果、一般的なレクだけで   ム2の提供を約3ヶ月間試みた。その結果、次第に
なく入浴63%、他者との会話68%など日常生活   笑顔が見られ集中力が持続するようになり、「私、
も楽しみにされている事がわかった。その為、生活   こんながするが大好き。」という言葉が聞かれるよ
の中での生きがいや目標を見付け出すレクを生活レ   うになった。また3ヶ月目には自宅でも家事動作が
クとして重点をおいた援助を行い、問題点が改善さ   行えるまでになった。そして以前出来なかったプロ
れてきた一症例を紹介する。   グラム1のパズルや作品作りにも集中して出来るよ
<事例紹介>   うになり、帰宅願望や徘徊が見られなくなるまでに
Hさん  80歳  女性   要介護度;2   なった。
病名;アルツハイマー型痴呆、変形性膝関節症   <考察>
   心疾患、高血圧    利用者は、一般的なレクの充実だけではなく生活
家族構成;夫、長男、孫2人  キーパーソン;夫   レクの充実を望んでいる事がアンケートの結果わか
職歴;家庭科教諭、主婦  日常生活自立度;A1   った。それをもとにHさんの生活レクに重点をおい
ADL;移動:独歩・見守り  食事:見守り   た生活支援を行った。生活レクのプログラムを作成
   排泄:一部介助  入浴:一般浴・一部介助   するには、Hさんのニーズや関心、家族やサービス
痴呆性老人自立度;Ⅲb 長谷川式スケール;9点   担当者間との情報交換、Hさんの来所時の言動を時
問題点;不穏、帰宅願望、徘徊、見当識障害   間をかけて理解していく必要があった。そしてHさ
    短期記憶障害   んに合った生活レクプログラムを見付け出し、それ
利用開始日;H14.11.30  利用日;週5回   を行う事によって生きがいに感じ心身機能向上にも
Hさんの援助計画内容   つながる事ができた。今回は目標が達成された一例
1)目標:集中してレクに参加する事が出来る。   であったがHさんの目標が他の利用者にあてはまる
  プログラム1 a:裁縫、編物  b:作品作り   とは限らない。私達職員は一人一人の生活歴、ニー
         c:パズル  d:塗り絵、はり絵   ズ、関心を把握し、その中から集中可能なレクを選
2)目標:自宅で家事動作を行う事が出来る。   択し実行する必要があると痛感した。今後も生活内
  プログラム2  e:タオルたたみ  f:掃除   での目標、生きがいを導き出し、生きがいのある生
          g:コップ洗い、拭き   活支援に取り組んでいきたいと考える。
<経過・結果>    
 利用開始時はゲームには楽しんで参加されていた   【参考文献】今すぐ使える福祉レクリエーション
が、それ以外の時間は帰宅願望や徘徊などが強く見                    著:池 良弘

『体位変換の時間を2時間以上とした症例の検討』 日本褥瘡学会誌Vol.5

日本褥瘡学会誌 Vol.5
体位変換の時間を2時間以上とした症例の検討
中島房代(1N病棟婦長)、豊田恒良(医師、外科)

 

 

要旨

自力体位変換が出来ない危険因子のある患者16名に、体位変換の間隔を2時間以上とし、褥瘡発生の危険について検討した。全例二層式エアーマットを使用し、体位変換は左右側臥位と仰臥位とした。検討項目は、2時間4時間5時間後における骨突出部の皮膚発赤の有無と体圧の測定とした。また、発赤群と非発赤群とに分け、危険因子(病的骨突出、関節拘縮、栄養不全、皮膚湿潤、浮腫)と体圧値との関連をみた。この結果、4時間後までに発赤例はなく、5時間後には8例に発赤を認めた。発赤群は非発赤群に比べ、病的骨突出や栄養不良、浮腫のある患者が多く、体圧値が褥瘡発生危険値である40mmHg以上を示したのは1例であった。この結果より、二層式エアーマット使用下では同一体位4時間までは褥瘡発生の危険は少ないが、それ以上では危険因子を有する患者に、体圧値が危険値以下であっても褥瘡発生の危険があると考えられた。

 

 

はじめに

臥位時の褥瘡発生予防において、2時間ごとの体位変換は必須とされている。それは、70〜100 mmHgの圧力が2時間皮膚に加わると、圧力による組織損傷の徴候が現れると報告されているからである。しかし、これは過去の概念であり、最近は、褥瘡予防に関する研究が急速に進展し、優れた機能を持つ体圧分散寝具等が開発され、患者の安眠障害の原因ともなる体位変換についても考え直されてきた。実際、自力体位変換ができない患者の介護に、昼夜を問わず2時間おきに体位変換を実施することは、家族介護者の大きな負担となり、また、それが病院や施設からの在宅介護復帰へのネックともなっている。しかし、現状の介護保険サービスだけでは解決できる問題ではない。病院や施設においても、褥瘡予防は2002年の診療報酬改定で褥瘡対策として評価されることとなり、なお、一層の努力が求められている。しかし、施設では患者介護度の上昇と反比例して、マンパワーは慢性的に不足しており、体位変換の実行にも支障を来たしているのが現状である。そこで、上記問題を解決する目的でこの研究を施行した。研究は、二層式エアーマット使用患者に対し体位変換の間隔を2時間以上とし、褥瘡発生の危険につき検討した。

 

 

対象と方法

1.対象

対象は、介護療養型医療施設に2002年4月時点で入院していた患者16名である。性別は男性3名、女性13名、年齢は55〜100歳、平均年齢85.3±11.3歳であった。ブレーデンスケールは7〜10点、平均得点8.5±0.9点であった。体重は29〜57Kgであった。介護度は全例要介護5であり、日常生活自立度(寝たきり度)は、全例自力で寝返りもうてないランクC-2であった。なお、この研究の趣旨は本人もしくは家族に説明し同意を得た。

2.方法

全症例に体圧分散寝具として、二層式エアーマットレス(トライセル、ケープ社)を使用。体位変換は左右30度側臥位と仰臥位とし、その間隔は最長5時間とした。なお、今回の研究は夜間就寝時を想定したのでギャチアップは実施しなかった。

検討項目は同一体位で、2時間後、4時間後、5時間後の骨突出部の皮膚を観察し発赤の有無を確認した。発赤の判定は、圧迫されていない皮膚より明らかに赤いと肉眼的に診断した。なお、発赤が確認された場合は、その時点で同一体位を中止する事とした。また、マルチパッド型簡易体圧測定器(セロ、ケープ社)を使用し、各時間に体圧測定を実施した。測定部位は仰臥位で仙骨部、側臥位では大転子部とした。なお、測定に際してはマイナーチェンジの恐れがあるので、体を浮かせないように注意しセンサーを入れた。そして各時間に3回測定し平均値をとった。全症例は、何らかの危険因子、・病的骨突出(大浦の分類で評価)・関節拘縮・栄養状態の低下(血清アルブミン3.0g/dl未満、ヘモグロビン11.0g/dl未満、血清コレステロール160mg/dl未満)・皮膚湿潤(ブレーデンスケールで評価)・浮腫を有しており、皮膚発赤群と非発赤群とに分け、危険因子と体圧値との関連を検討した。

 

 

 

結  果

1.仙骨部の体圧時間的変化と皮膚発赤

16例の仙骨部体圧値(平均値±標準偏差)は、2時間値25.4±5.2mmHg、4時間値29.3±4.3mmHg、5時間値32.7±4.9mmHgであった。皮膚発赤は4時間までは認めなかったが5時間で6例に認めた(図1)。発赤を認めたのは、高い体圧が持続したと考えられる症例に多かったが、低い体圧に留まっていたと推測される症例にも発赤を認めた。

2.右大転子部の体圧時間的変化と皮膚発赤

16例の右大転子部平均体圧値は、2時間値21.9±5.2mmHg、4時間値25.4±5.4mmHg,5時間値28.6±5.0mmHgであり、皮膚発赤は5時間で1例に認めた(図2)。いずれの時間においても仙骨部より低値であった。

3.左大転子部の体圧時間的変化と皮膚発赤

16例の左大転子部平均体圧値は、2時間値23.5±3.4mmHg、4時間値26.6±3.6mmHg、5時間値29.1±3.9mmHgであった。皮膚発赤は5時間で1例に認めた(図3)。いずれの時間においても仙骨部より低値であった。

4.皮膚発赤症例の危険因子と体圧値の関連

皮膚発赤が5時間後に観察された8例の危険因子は、全例に褥瘡の既往(瘢痕組織の有無で評価)と皮膚湿潤を、7例に骨突出、関節拘縮、栄養不良を、6例に浮腫を認めた。8例の発赤時の体圧平均値は34.4±4.6mmHgであった。体圧が28mmHgとランディスの定める褥瘡発生危険値である32mmHgに満たなかった2症例は、他症例より骨突出と栄養不良が顕著であった(表1)。

5.皮膚非発赤症例の危険因子と体圧値の関連

皮膚発赤が観察されなかった8例の危険因子は、7例に関節拘縮と皮膚湿潤が認められたが、発赤症例に多数認められた褥瘡の既往、骨突出、栄養不良は1例に認めるのみであった。8例の最高体圧平均値は33.5±4.4mmHgであり、8例中4例の最高体圧値が32mmHg以上であった(表2)。

 

 

考 察

褥瘡予防のケアは、危険因子である「自力体位変換ができない」「病的骨突出がある」「関節拘縮がある」の何れか一つでもある場合に実施され、その方法として体位変換と体圧分散寝具の使用とされている1)。体位変換は2時間ごとに左右30度側臥位と仰臥位、ギャチアップは30 度までとし、体圧分散寝具は危険因子から作成されたK式スケールをもとに選択するとされている2)。研究対象となった症例は、全例自力体位変換が出来ないことより、褥瘡予防ケアの対象となり、K式スケールによる体圧分散寝具の選択基準からエアーマットレスを選択した。エアーマットレスは、ギャチアップ対応二層式エアーマットレス(トライセル;ケープ社)を使用した。二層式エアーマットレスの体圧分散効果は、体圧値、褥瘡発生率からみても単層式エアーマットレスや標準マットレスよりも優れているとの報告がある3)。

大浦氏は、『在宅における褥瘡ケア・治療の問題点解決は』というテーマの座談会の中で「高機能タイプの体圧分散マットレスを使用すれば、普通なら2時間ごとに体位変換を行わなければならないが、3〜4時間はそのままにしておいても、それほど変化はしない」と述べている4)。この研究でも、同一体位4時間までは皮膚に発赤を認めた症例はなく、患者の身体状況に適合したマットレスを使用すれば2時間以上の体位変換も可能と考えられた。

体圧測定は、マルチパッド型簡易体圧測定器(セロ;ケープ社)を使用した。この器械の信頼性と妥当性の高さは須釜らにより報告され、この器械による褥瘡発生のカットオフ値(危険値)は40mmHgとされている5)。この研究において、16例中40mmHg以上の体圧値を示したのは、同一体位5時間後の仙骨部に皮膚発赤を認めた(体圧値:40.8mmHg)1例のみであった。しかし、体圧値が40mmHg以下であっても7例に皮膚発赤が認められた。褥瘡発生の原因は応力(圧縮応力、せん断応力、引張応力)とされている6)。この3つの応力が複雑に組み合わさって組織内の虚血状態を作り出し褥瘡を形成する。さらに応力に影響を与える要因として骨突出と皮膚湿潤(せん断応力を増大するとともに皮膚を浸軟させるので、皮膚の外力に対する抵抗力が弱まり、褥瘡になりやすくなると推測されている)があげられる。同一体位5時間後に皮膚発赤を認めた8例は、全例に皮膚湿潤を、7例に骨突出があり、骨突出が少なかった非発赤症例よりも強い応力(ズレの力)が加わっていたと推測され、それが体圧値40mmHg以下であっても皮膚発赤を認めた原因と考えられた。なお、この研究で全症例が時間経過とともに体圧が上昇した。これは、1.全症例布オムツを使用しており、排泄物によりオムツ自体が湿って硬くなり徐々に皮膚の圧迫が強まった。2.同一体位では下肢屈曲が徐々に強くなるため、骨突出部に体重が集中した。以上1と2の要因が同時に加わったためと推測された。

褥瘡発生において、応力を低下することが出来れば体位変換時間の間隔は延長できると考えられる。それには、体圧分散寝具による除圧のみではなく、「ズレの力」の排除も必要とされ、その点からもズレの可能性を高める頻繁な体位変換は、かえって褥瘡発生の危険に繋がるとも考えられる。よって、体位変換時間の設定は、患者の病状と危険因子の状況把握、体圧分散寝具の選択、介護力とを総合的に判断した上で実施すべきである。

中條は7)、体位変換を二つに分類し、一つは一般的な体全体を動かす大きな変換、もう一つは手や足の組み変え、顔の向きを変えるなど、部位だけを変換する「マイナーチェンジ」とに分け、その重要性を指摘している。マイナーチェンジにより、加圧されている臀部や背中にわずかながら圧の移動が起こり、血液循環も改善され褥瘡発生予防に役立つとしている。さらに、これは介護者一人で簡単に出来るので、定期的な体位変換に加えて行うことを推奨している。

また中條は、体位変換の意義を身体面と心理面の点から述べている。身体面では、内臓機能を正常に保ち、循環障害や肺炎、関節の拘縮と変形を予防でき、心理面では視界の変化が気分転換となり、同一体位による体の痛みやだるさから解放される喜び、さらに、介護者から受けるスキンシップにより疎外感が取り除かれるとしている。しかし、当病棟には自力体位変換出来ない患者が常時70%以上を占め、その体位変換を夜勤者二人で実行するには難しい。また、在宅介護でも介護者のみで2時間毎に体位変換を行うのは困難であり、実施されていないのが現状である。今後我々は、ブレーデンスケールと危険因子のデーターを考慮した上で、エアーマットによる体圧管理と骨突出部のポジショニングを工夫し、マイナーチェンジも加えることにより、さらに体位変換時間を延長出来るか検討予定である。

 

 

 

まとめ

体位変換時間が、同一体位で4時間までなら皮膚発赤は認めなかったが、5時間後には16例中8例に発赤を認めた。皮膚発赤群は非発赤群に比べ、危険因子の中でも病的骨突出、栄養不良、浮腫を認めた患者が多かった。しかし体圧値が褥瘡発生危険値である40mmHg以上を示したのは8例中1例のみであった。

この結果より、二層式エアーマット使用下では同一体位4時間までは褥瘡発生の危険は少ないが、それ以上では危険因子有する患者に、体圧値が危険値以下であっても褥瘡発生の危険があると考えられた。

稿を終えるにあたりご指導を頂きました医療法人光ケ丘病院笠島眞副院長、金沢大学医学部保健学科真田弘美先生に深謝いたします。なお、本稿の要旨は第4回日本褥瘡学会学術集会(2002年8月31日,於金沢)において発表した。

 

 

 

文献

1)褥瘡対策の指針:27-29、2002 照林社

2)須釜淳子、北川敦子、真田弘美:臥位時の褥瘡予防技術、褥瘡患者の看護技術―最新の知識と看護のポイント、103-105、へるす出版、2002

3)松井優子、三宅繁美、河崎伴子、ほか:二層式エアセルマットレスの褥瘡予防における臨床実験研究.日本褥瘡学会誌、3(3):331-337、2001.

4)大浦武彦、宮林徹、沼田美幸:シリーズ褥瘡⑮   [座談会]在宅における褥瘡ケア・治療の問題点解決は.Home Care Medicine、3(6):30-36、メディカルトリビューン、東京、2002.

5)須釜淳子、真田弘美、中野直美ほか:褥瘡ケアにおけるマルチバッド型簡易体圧測定器の信頼性と妥当性の検討;日本褥瘡学会誌、2(3):310-315、2000.

6)大浦武彦:褥瘡とは;寝たきりの予防と治療、褥瘡患者の看護技術―最新の知識と看護のポイント、11-12、へるす出版、2002.

7)中条俊夫:ケープハート14号、2002.

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