2004 10月

HOME  >  2004  >  10月

『入院高齢患者の低栄養状態予防の観点から残食率を付加した栄養補助食品の考え方』 第51回日本栄養改善学会会

第51回日本栄養改善学会での発表より

光ヶ丘病院(○鹿嶋和子、新保佳子、大橋香、沼田真弓)



年月日:平成16年10月20日(水)・21日(木)・22日(金)

場 所:石川県金沢市



1.演題名:入院高齢患者の低栄養状態予防の観点から残食率を付加した栄養補助食品の考え方



2.はじめに:近年高齢入院患者の低栄養が問題になってきている。療養型病院栄養士として思うことは、一般的に高齢入院患者がPEM(蛋白・エネルギー低栄養状態)に陥っても、改善されないまま介護保険施設や在宅ケアの現場へ移行されているように見受けられる場合があります。入院高齢患者の食事で最大の栄養問題はいかに低栄養状態を防ぐかだと思われます。QOLを保つ治療を行う為にも低栄養状態を改善する一つの方法として給食時における残食量に及ぼす低栄養の関連性とその予防としての栄養補助食品を付加した場合の栄養状態の変化を調査したので、ここにご報告致します。



3.目的 A.入院患者の低栄養状態調査

B.低栄養患者に対する栄養マネージメントの施行



4.方法
対象者 入院患者 ・自分の力で食事が出来る人
・楽しい雰囲気で食事が出来る人
(食堂で食べることの出来る人)
・食事形態が同一の人
・同一栄養補助食品を食べ続けることの出来る人
人数 28名(男7名・女21名)
年齢 80歳±11
調査期間 2ヶ月間(平成16年3月1日〜4月30日)
食事の種類 塩分コントロール食
主病名 心臓病(全粥)
メニュー別残食率の算出 秤量式:主食・主菜・副菜・味噌汁・牛乳・果物
栄養摂取量の比較 栄養補助食品付加前・後の比較
身体計測 BMI・AC・TSF・AMC・AMA
血液検査 Hb・Alb・TP・Tf・TLC


メニュー別残食率(平均)

月 主食 主菜 副菜 みそ汁 牛乳 果物
3月 8% 33% 24% 18% 6% 11%
4月 8% 24% 23% 24% 7% 14%

メニュー別では主菜が一番多かった



(C)残食率の一番多い時間帯はいずれも夕食であった(3月:17%・4月13%)
朝食 昼食 夕食 一日総量
3月 13% 16% 17% 15%
4月 10% 11% 13% 11%
image-eiyouH16.10-1



6.付加食品について (付加食品の平均栄養素:熱量273Kcal・蛋白10.3g・脂質7.9g)

(A)付加した栄養補助食品名です

 ・エンジョイムース   ・レナウェル3   ・テルミール2.0   ・テルミールソフト

 ・ソフトカップ    ・プロッカゼリー  ・ブイ・クレスα   ・レナウェルA

 ・テルミールミニα   ・テルミールソフトM




(B)付加食品の献立例【3月の残食率15%以上の付加とする(三大栄養素)】
朝食 昼食 夕食
1日 ソフトカップ(バナナ) グランケア
2日 エンジョイムース(小豆) テルミールソフト(1/2パック)
3日 ソフトカップ(プレーン) レナウエル(ミックス)
4日 プロッカ(ピーチ) テルミール2.0(1/2カップ)
5日 グランケア ブイ・クレスα
6日 レナウェル(ミックス) プロッカ(ピーチ)
7日 ソフトカップ(プレーン)



(C)付加食品の栄養素別時間帯配分です。

三大栄養素は昼食に一番高く配分しています。

付加栄養量・時間帯割合(一日平均)
エネルギー 蛋白質 脂質 炭水化物 Ca Fe レチノ―ル VB1 VB2 VC 塩分
Kcal g g g mg mg μg mg mg mg g
朝食 平均 24 1.0 0.8 3.4 22 0.3 25 0.04 0.07 3 0.0
9% 9% 9% 9% 10% 13% 17% 2% 5% 5% 7%
昼食 平均 141.0 5.0 4.8 19.3 89. 1 61 1 1 23 0.3
52% 48% 58% 52% 41% 46% 41% 64% 56% 33% 61%
夕食 平均 108 4.4 2.7 14.3 103 0.9 63.3 0.59 0.51 43 0.1
39% 42% 33% 39% 48% 41% 42% 34% 39% 62% 33%
合計 273 10 8 37 214 2 149 2 1 69 0



(D)付加食品の残食率は平均11%で、時間帯では朝が一番高く示した。

image-eiyoukaH16.10-2
付加食品残食率

image-eiyoukaH16.10-3
時間帯別残食率

平均残食率:11%

 

7.栄養摂取量について

付加前と付加後の栄養摂取量の変化を示した。充足率は、付加後は満たされ、有意差(P<0.01)が認められた。塩分は心臓食1日7gが保たれた。

付加前・付加後の栄養素摂取量
image5-2 image-eiyoukaH16.10-4 image-eiyoukaH16.10- image-eiyoukaH16.10-6 image-eiyoukaH16.10-8 image-eiyoukaH16.10-9 image-eiyoukaH16.10-10 image-eiyoukaH16.10-11 image-eiyoukaH16.10-12 image-eiyoukaH16.10-13 image-eiyoukaH16.10-14
PFCバランス

3月→PFCバランス:P13.8・F20.0・C61.6

4月→PFCバランス:P14.1・F21.5・C56.4

        いずれも良い結果となっている。

資料:
厚生省「国民栄養調査」「日本人の栄養所要量」
理想的な食事のPFCバランス(エネルギー比)
たんぱく質 P:12〜15%
脂質    F:20〜25%
炭水化物  C:60〜68%


8.身体計測について(付加前・付加後の比較)
BMI (体格指数)   75% image-eiyoukaH16.10-15 左記のいずれのデータも
有意差(P<0.05)が認められた。
AC (上腕周囲長) 78%
AMC (上腕筋周囲) 71%
AMA (上腕筋面積) 71%
TSF (上腕三頭筋皮下脂肪厚) 有意差が認められなかった。
9.血液生化学検査値では
TP (血清総蛋白) image-eiyoukaH16.10-17 有意差(P<0.05)は認められた。
Tf (鉄結合性蛋白)
Hb (血色素量) image-eiyoukaH16.10-17 有意差は認められなかった。
しかし、Hb・Albにおいては改善された傾向が見受けられた。
Alb (血清蛋白)
TLC (総リンパ球数)
10.結果及びまとめ

入院高齢患者の低栄養状態は、不足栄養素を付加することで、改善傾向が見受けられた。入院高齢患者の残食量が認められた場合、平均残食率の相当平均栄養素を付加した栄養補助食品を与えると栄養摂取状態が良くなる可能性が示唆されたが、1ヶ月では有意な改善が認められない症例もあった為、1ヶ月以上の栄養付加食品の付加が望ましいと考えられた。





付記:栄養補助食品について

A)低栄養状態のとき、主菜(蛋白源)の残食率を栄養補助食品で付加する考え方

主菜(蛋白源メニュー)の残食率が全体残食率を上回った時、主菜の残食率を付加した方が低栄養改善のスピードアップになると思われます。

しかし、当院の場合:全体残食率・・・3月(15%)→4月(11%)

          主菜残食率・・・3月(33%)→4月(24%)

 以上のように主菜残食率を付加する場合、約2倍以上の栄養補助食品を与えることになるが食べる量の問題があり、残食率も2倍以上になると思われます。又、食品のマンネリ化のため長期間続くと残食率が一層多くなると思われます。



B)栄養補助食品の残食率を少なくするために

 当院では栄養補助食品をアレンジする場合があります。

・献立の中に入れる時
メニュー例 image-eiyouH16.10-20 ・生果汁ミキサーの中に入れる
・フルーツポンチの中に入れる
・シチューに入れる
・そのままの応用
メニュー例 image-eiyouH16.10-20 ・あべかわにする
・アイスにする
・お汁粉に入れる

以上のような工夫をして残食防止に努めています。

C)当院の残食調査内容について
全体調査→毎日:朝・昼・夕×3回 image-eiyoukaH16.10-17 秤量式
        主食、他の区別
個人対応→年1〜2回 image-eiyoukaH16.10-17 秤量式
        個人別・メニュー別(8品目)

各病棟→毎日個人別、主食・副菜・・・視覚での目安として分数方式

『2A特殊疾患療養病棟について』 第9紫蘭会研究発表会

2A特殊疾患療養病棟について

 はじめに
2A病棟は平成15年9月より一般病棟から県内で初めての特殊疾患療養病棟として開設され現在30名の患者様が入院されている。その中で約半数が神経難病患者である。
難病は原因不明で治りにくく、いまだに治療法も確立されていない疾患、しかも療養生活が長期になってくる場合が多く、患者様の精神的な苦痛は、はかりしれない。
私達はその苦痛を少しでも和らげることが出来る様に、又快適な入院生活が送れるよう援助してきた。
今回、約1年間の当病棟の現状と今後の課題について報告する。
まずはじめに特殊疾患病棟に該当する疾患は

①筋ジストロフィー
②神経難病の中の10疾患

 多発性硬化症・重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症(以後ALSと略す)脊髄小脳変性症、ハンチレトン舞踏病、パーキンソン病(ヤールの臨床的症度分類のステージ3以上でかつ生活機能症度がⅡ度又はⅢ度のものに限る)シャイ・トレーガ症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病、亜急性硬化性全脳炎

③脊髄損傷

④重度の意識障害

意識レベルがJCSでⅡ-3-30以上あるいはGCS8点以下の状態が2週間以上持続している患者

i-kenkyu2aH16.10-1


現在病棟には重度の意識障害は16名(53%)神経難病は14名(47%)の患者様がいる。

 神経難病の内訳はパーキンソン病8名、ALS4名(その内2名は人工呼吸器装着中)脊髄小脳変性は2名である。

 生活機能ランク別では、C2 全面介助の患者様が7割いる。それに伴い経管栄養患者様も7割いる。


 難病患者様は運動機能の低下や構音障害の為、自分の感情を伝える手段がなく、孤独に陥りやすい。その為に私達は、患者様の症状・状態に合わせ、特殊なナースコール、対面文字板を使用、時間をかけて訴えを聞くようにしている。また残された関節運動を利用してマイクロスイッチ式のナースコールの工夫も行っている。

 その結果、患者様と接する時間が増えてきている。患者様の笑顔も見られるようになり、「楽になりたい」と涙を流していた患者様も徐々に明るくなってきている。

 その分、私達の業務の中で患者様の部屋にいる時間が多くなり、その他の業務に支障をきたすようになっているのが現状です。

 重度意識障害など病気の進行に伴い全面介助を必要とする患者には廃用症候群の予防の為2時間毎の体位変換、皮膚の清潔を保つ為、週2回の入浴、入浴の出来ない患者様には清拭を行っている。また定期的に手浴・足浴・爪切りなどを行っている。
 気管切開をしている患者様は9名、気道感染を防ぐ為、吸引は清潔操作で行い、分泌物は貯留させない。(1日に頻回に吸引をしている)レクリエーションは週に1回行い、重度意識障害の方にもベットやリクライニング車椅子にて参加してもらっている。
 レクリエーションを通じて患者様同士がふれあい、気分転換や闘病生活を高める良い機会になればと思っている。

 最初はホールに出ることを嫌がっていた患者様も最近では進んで参加するようになってきている。

おわりに

  難病を抱え苦しんでいる患者様にとって精神的心理的負担が重く辛い毎日を送られているのが現状である。2A病棟のほとんどの患者様は疾患を告知されている。そのため、疾患に対する患者様の受け止め方、予後についてどのようにとらえているかを知っておかなければいけない。それには、御家族の参加、協力が大切であると痛感している。まだ残された課題はたくさんある。これからも、患者様の立場に立ち、笑顔と思いやりの看護が出来るよう努めていきたい。

『にがり水による便秘効果』 第9紫蘭会研究発表会

にがり水による便秘対策

はじめに   
高齢者のかかえる合併症の1つに便秘が考えられる。2N病棟では寝たきりの高齢者が90%以上をしめており、常に座薬や浣腸、摘便を施行する患者様が10人〜15人程度みられ、摘便を施行しても硬く出血する事もあります。(図①)

i-2nH16.10-2

その便秘の原因には高齢者の水分不足も要因と考えられます。その為、私たちは水分の補給を促しマグネシウムなどのミネラルの豊富なにがり水を使用する事により自然排便を促進できないかと考え実施した結果をここに報告します。


   ① 期間 平成16年5月6日から3ヶ月間

   ② 対象 経管栄養者9名、経口摂取者6名の計15名

   ③ 方法

    〈経管栄養者〉 1)白湯200ml + にがり10滴
               (にがりは100ml中 マグネシウムが1100mgが入ったものを使用。
                マグネシウム内容量33mg)

              2)効果がなく少しずつ増量する

              3)白湯200ml + にがり4滴
                (使用するにがりを変更。にがりは100ml中 マグネシウムが7400mg
                 入ったものを使用。マグネシウム内容量88.8mg)

    〈経口摂取者〉 1)昼食時 ごはんに10滴
               (にがりは100ml中 マグネシウムが1100mgが入ったものを使用。
                マグネシウム内容量33mg)

              2)効果がなく少しずつ増量する

              3)昼食時 ごはんorみそ汁に4滴
               (使用するにがりを変更。にがりは100ml中 マグネシウムが7400mg
                入ったものを使用。マグネシウム内容量88.8mg)

    ☆ 1滴は0.3mlとしました。

    ☆ 鉄、亜鉛など不足しがちなため、補足することもできた。

    ☆ 塩化ナトリウムも最大1.5gの摂取で問題はないが、
       塩分制限のある患者様には使用しなかった。

    ☆ 経管栄養者には、昼に白湯200mlを追加した。
      (当院では、2回/日の経栄のため)

    ☆ 内服は継続する。定期の緩下剤(シンラック)は中止


i-2nH16.10-1

 にがり水の分析表(100gあたり)
 
 熱量 0k㌍
 塩化ナトリウム 1300 mg
 カルシウムイオン 0.69 mg
 鉄 0.1 mg
 カリウムイオン 620 mg
 マグネシウムイオン 7400 mg
 亜鉛 0.5 mg
 マンガン 1.8 mg
 硫酸イオン 5900 mg




結果
①にがり水を使用することにより、処置回数が減った(図②〜図④)

i-2nH16.10-3

i-2nH16.10-4

i-2nH16.10-5





②対象者の便の硬さが硬便から軟便になった。(図⑤)

i-2nH16.10-6

③にがりはにがりのみを使用するより十分な水分補給を同時にするとより効果が得られた。(図⑥)
i-2nH16.10-7




考察
今回3ヵ月間15名の患者様に対しにがり水を使用した結果、実行前は硬便、付着便、または3日以上排便が無くて何らかの処置を必要とする患者様が大半を占めていた。
にがり水を開始した当初はあまり効果が見られず、3週間後ににがり水を増量した結果、自然排便が見られるようになってきた。
経管栄養摂取者はにがり水により、全体の水分摂取量も増加していることから効果が早く現れてきた。
経口摂取者は効果が現れてきた人もいるが、ガスが貯留して、すぐ処置を必要としたり、にがり水を使用しても自然排便が出来ない患者様もいた。
また、にがり水の効果が強く下痢になった患者様も数名いたが、にがり水を1日置きにする等して調整を行った。
にがり中のマグネシウムは腸内に水分を溜める働きがあり、経管栄養者にはより効果が現れたと思われた。
経口摂取者には、にがり水と水分摂取を同時に進めていくことが今後必要であると感じた。また、にがり水を使用しても体重の増減もあまり無かった事から、患者様の健康的な便の排泄を促すことが出来たのではないかと考えられる。


 

おわりに

寝たきり高齢者の排便コントロールは下剤、浣腸、摘便をするのは、やむ得ないと考えていたが、今回この研究を実施したところ、にがりと十分な水分補給を行うことにより薬剤処置の回数が減り自然排便がみられるようになった。今後も2N病棟では、にがり水を継続して自然排便が出来るように努力していきたいと思います。

 

参考文献
① わかさ  2003年 12月号 株式会社わかさ出版 P16〜P17
② http://www.hapima.com/sh/giazz/nigari/ 
③ http://www.di-hana.com/kaiyousui/


『ビタミンCが尿検査に与える影響』 第9紫蘭会研究発表会

ビタミンCが尿検査に与える影響
検査室 穴田 委甲子


i-kensaH16.10-2

i-kensaH16.10-3

i-kensaH16.10-4

i-kensaH16.10-5

i-kensaH16.10-6

『訪問リハビリの利用状況と効果』  第9回紫蘭会研究発表会

訪問リハビリの利用状況と効果

 介護保険制度が始まってから当法人では訪問リハビリを強化してきた。平成16年8月には約160件の訪問リハビリの利用があった。主な業務はADL訓練を中心とした機能訓練、環境の整備、自己訓練の指導や療養指導を行なっている。今回、介護保険から訪問リハビリを利用している人の状況をまとめたので報告する。



対象
訪問リハビリを3ヶ月以上継続し、かつ介護保険を利用している18名。調査期間は平成16年8月。



方法
依頼ケアマネジャー、開始時の介護度、介護者の有無、通所サービスの利用状況、訪問回数や介護度の改善度を調査した。


i-rihaH16.10-9

i-rihaH16.10-2



介護度(開始時)
i-rihaH16.10-3

i-rihaH16.10-4

i-rihaH16.10-5

i-rihaH161.10-6

i-rihaH16.10-7

i-rihaH16.10-8



まとめ
イギリスでは訪問リハビリの効果はエビデンスBと報告されているが、ほのぼのでは介護度が改善したのは17%であった。訪問リハビリの技術向上はもちろんであるが更に詳細な研究を行い訪問リハビリの適応を検討する必要があると考える。
診療案内
INFORMATION [はじめて受診される方へ]  初診の方はご覧ください
[受付時間のご案内] 【月~金曜日】
 午前   8:30~12:00
 午後 13:30~17:00
【土 曜】
 午前 8:30~12:00
 午後 休診
【休 診】
 日曜・祝日・お盆・年末年始
医療法人社団 紫蘭会 医療法人
光ヶ丘病院
Medical Corporation HIKARIGAOKA 〒933-0824
富山県高岡市西藤平蔵
313番地
TEL 0766-63-5353(代)