巻頭言 ほほえみ第78号(令和2年3月号)

巻頭言 ほほえみ第78号(令和2年3月号)

2020.04.01

 令和になって初めての新年度を迎えるというのに、世界中が新型コロナウイルスの恐怖におびえています。クラスター感染の脅威から、あらゆる集会が中止となり、株価は暴落し、奈落の底へ落ちていく不安がよぎります。幸い富山県には、感染者の報告はありませんが、近いうちに出てくるでしょう。当法人の病院施設では原則面会禁止など、拡大感染対策チームが何度も会合を開き、利用者と職員を守る為あらゆる対策を取っていますが、万が一当法人に感染者がでたら、壊滅的な打撃を受けるのは間違いありません。特効薬が出て早く終息するのを願うのみです。

 昨年度光ヶ丘病院は入院患者さんが増え、業績は好調でした。急性期基幹病院との連携、連携の会メンバーを主体とする在宅医療や特養などを支えている医師との連携、医療関係者や行政や住民などとの連携がうまくいっていると思っています。しかし年末年始にかけて病床稼働率が急減した時期もあり、地道な連携を着実に積み重ねていきたいものです。

 4月に新藤医師夫妻が常勤医として着任します。リハビリテーション分野にとどまらず、さまざまな経験と知識を重ね、若い力で大いに羽ばたいてほしいと願っています。世代交代の波は特に看護部でも起こってきます。病院と老健が一体となって若返りを図りたいと思っています。

4月に診療報酬改正が行われますが、慢性期医療は患者さんの状態を改善してあげ、自宅や施設に帰す慢性期治療病棟しか認めない政府の方針です。たとえ中心静脈栄養は医療だと言い張っても老人収容型の平均在院日数が異常に長い病院は淘汰されるでしょう。次々回の改正で平均在院日数が例えば二百日以上は大幅減算される気がします。当院は急性期能を持つ地域一般病棟があり、寝たきりで認知症がある肺炎・脱水・腎盂腎炎・脳卒中及び骨折連携パスなどを引き受けており、平均在院日数は17から20日ほどで、重症度指数は35%を超えています。  

医療療養病棟で中心静脈栄養のかたはほぼ全員経口摂取を併用しています。平均170日と近隣療養病院の半分ほどですが、まだ長すぎるので何とか短縮できないかと思っています。中心静脈栄養患者を自宅で介護するパワーが今後ますます貧弱になるので、摂食嚥下訓練で経口摂取を促し、排泄の自立に本格的に取り組み、在宅や施設に行ける状態にもっていきたい。

 老健おおぞらは減床となりましたが2ヶ所体制となり、目が行き届きやすくなりました。在宅マインドをもったケアプランナーになれる職員がたくさんいます。7月から電子カルテも導入されます。今後病院職員は老健をもっと理解し交流を深め、お互いにケアの質の向上に努めたいものです。   

 4月に多くの職員が入職しますが、ケアの質の向上に真摯に取り組んでもらいたい。私は特定看護師や認定看護師やケアマネージャーなど一つ上を目指すやる気のある職員を支援します。

 

紫蘭会理事長  笠島 學